01きっかけ
連絡ノートづくりのきっかけは、障がいのある子どもを育てる二人の母親が、それぞれの暮らしの中で感じていた「情報共有」への課題でした。
一人は、学校と2か所の放課後等デイサービスを利用し、3冊の連絡帳を使用していました。
それぞれに書く手間だけでなく、伝える内容に偏りが出たり、学校での様子をデイサービスは知らなかったり。
一人のお子さまにみんなが関わっているのに、情報はそれぞれの場所で途切れていました。
もう一人は、訪問教育や訪問看護、ヘルパーなど、多くの支援者が自宅に関わる医療的ケア児の母親。
自作のノートで記録を残していましたが、それぞれが別の場所にも記録するため、一日の情報を一冊で共有することはできていませんでした。
過ごす場所も、必要な支援も違う。
けれど、二人が感じていた課題は同じでした。
一人のお子さまに関わる人たちが、その日のことを一冊で共有できたら。
そこから、cocoeの連絡ノートづくりが始まりました。
02「きらり」と「ほっと」
連絡ノートをつくる中で見えてきたのは、同じ「情報共有」でも、必要な記録はお子さまによって大きく違うということでした。
学校や放課後等デイサービスを利用するお子さまの場合、共有したいのは、その日の出来事や取り組み、家庭での様子などが中心。
一方、医療的ケアのあるお子さまの場合は、医療的ケアの内容や体調の変化など、身体に関する細かな情報を一日を通して共有することが大切になります。
そこで、日々の出来事や成長を中心に記録する「きらり」と、医療的ケアや体調の記録を中心とした「ほっと」、2種類の連絡ノートをつくることにしました。
日々の中でふと見える成長や、今日の「できた」が"きらり"と輝く瞬間を、関わる人たちと見守っていけるように。
そして、日々の様子や体調の変化を共有することで、関わる人たちが"ほっと"できる見守りにつながるように。
そんな想いを、それぞれの名前にも込めています。
03つながるための一冊へ
「ほっと」の開発では、医療的ケアのあるお子さまを育てるお母さん20名にモニターとして参加していただきました。
さらに、お母さんだけでなく、特別支援学校の先生、放課後等デイサービスのスタッフ、訪問看護師など、実際に連絡ノートを使うさまざまな立場の方の声を聞きながら、必要な項目を検討していきました。
内容だけでなく、毎日使うものだからこそ、紙の書きやすさや記入欄の幅、スペースにもこだわり、テストを重ねながらブラッシュアップ。
また、ノートの最初には、その子の基本的な情報をまとめられる簡易版のサポートブックを付けました。
初めて関わる人でも必要な情報をすぐに確認でき、伝達漏れを防ぐためです。
親が一人ひとりに情報を伝えるのではなく、この一冊を開けばその子のことがつながっていく。
そんな連絡ノートを目指して、形にしていきました。
041日1日を、宝物に
連絡ノートを一冊にしたことで、それまで見えなかった時間のことも、関わる人たちの間で共有できるようになりました。
「学校でこんなことに取り組んでいるんだ」
「放課後等デイサービスでもやってみよう」
そんなやりとりが生まれ、場所を越えて支援がつながっていく。
「ほっと」では、一日の体調やケアの経過が見えることで、次に関わる人へも安心してケアを引き継げるようになりました。
そして何より、親が間に入って一人ひとりに情報を伝える必要がなくなりました。
今は、メッセージアプリなどで便利に情報を共有できる時代です。
それでも私たちが紙の連絡ノートをつくったのは、重症心身障がいや医療的ケアのあるお子さまにとっての一日一日を、大切に残してほしいと思ったから。
忙しい毎日の中で、お子さまのことを一生懸命支えてくださる先生や支援者の方たちが残してくれた言葉も、いつか振り返ればかけがえのない記録になります。
情報をつなぐための一冊が、いつかその子の歩みが詰まった宝物になるように。
そんな想いを込めて、ずっと大切に残しておきたくなる連絡ノートを目指しました。
開 発 デ ー タ