cocoe producer
山崎 絵美
私は障がい児の母になって9年になります。「歩くこと、話すこと」ができない息子を育てて、「マイノリティ」の苦労を思い知りました。
出来ないことの方が多い息子ですが、サポートしてくださる方たちのおかげで、私たちは障がい児と一緒に生活することができ、「マイノリティ」であることを忘れさせてくれます。でもそこは狭い世界で、一歩飛び出せば不自由な部分がまだまだあります。
「自分たちは健常者と同じようにはできない」という気持ちが先に立ち、踏み出す勇気を失ってしまうこともありました。でも私が知っている世界は、楽しくてあたたかい。そんな広い世界で、肢体不自由の息子と一緒に生きていきたい。それはきっと「障がいと共に生きる人たち」みんなが同じように願っていることだと思います。
それがなかなか実現できないのは個々の心身機能の問題ではなく、社会のつくりに問題があるということを考え、心が笑顔になる「共生社会」への思いを一つ一つカタチにしてまいります。
島根大学医学部小児科 医師
竹谷 健 先生
育児は喜びとともに多くの挑戦を伴います。特に障がいを持つお子さまを育てるご家族にとって、育児ノートは日々の努力と愛情を形にする大切なツールだと思います。このcocoeの育児ノートは、医療的ケアや療育の記録を簡便にし、医療者との情報共有をスムーズにするために設計されています。日々の小さな成長を記録し、子どもの進歩を実感することで、励みと喜びを感じていただけることを願っています。私たち医療者は、医療を提供する立場ですが、医療者の真のミッションは「病気」を治すのでななく、「ヒト」を治すことです。病気を100%治すことができない場合、「子どもとご家族が笑顔で生活することができるように「癒す」こと、「支援」することが「子どもとご家族を治す」ことにつながります。心身ともに苦しんでいる子どもたちとご家族に対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、このノートを通じてお子さんとご家族の思いや悩み、希望に寄り添った支援を行うことができればと思っています。